本当にここは時間の流れがゆっくりしているように錯覚する。都会にいた頃は周りも自分も日々に追われていたからこそ、こんなに周りを気にしたり、ゆっくりする余裕もなかった。

だからなのかな。

初めて出会った僕に、存在に気付いてくれて、声をかけてくれた。そんな些細なことなのに…

たとえ彼女にとっては些細な日常で当たり前のことかもしれない。

でも、今の僕にはそれでも十分すぎる。

こんなに心が高鳴るのは久しぶりかもしれない。

もちろん、あっちにいた時のようなことが起こるかもしれない不安はあるけど、今までとは明らかに違う高揚感の正体を知りたい。

これから先、何か起こってほしいと願っている僕がいる。


「一歩踏み出してみようかな。」

そう呟いて歩き出した。



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この小説は銀じゃけ様によって書かれました。